キャンベルタウンのウイスキーとは|稼働3蒸溜所と1920年代の衰退
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最終更新 2026-09-30
キャンベルタウンのウイスキー(キャンベルタウンモルト)は、キンタイア半島南部の町キャンベルタウンを含む、法令で決められた区域で蒸溜されたモルトウイスキーです。このサイトの収録では、稼働中はスプリングバンク、グレンスコシア、グレンガイル(銘柄名はキルケラン)の3か所だけで、ほかに解体された蒸溜所が10か所あります。
早見表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法令上の区分 | スコッチウイスキー規則2009 第10条が保護する「地域」。もう1つはアイラ |
| 範囲 | アーガイル・アンド・ビュート議会のサウス・キンタイア選挙区 |
| このサイトの収録 | 稼働3・解体10 |
| 最盛期の蒸溜所数 | 資料によって21〜35と幅がある |
| 閉鎖が集中した時期 | 1920年代から1930年代(このサイトの収録では1924〜1934年に10か所が閉鎖し、うちグレンガイルは2004年に再開) |
法令上の範囲
スコッチウイスキー規則2009の第10条は、産地名をキャンベルタウンとアイラの2つの「地域」と、ハイランド、ローランド、スペイサイドの3つの「地方」に分けて保護しています。キャンベルタウンの範囲は、2006年の選挙区令で定められたアーガイル・アンド・ビュート議会のサウス・キンタイア選挙区です。
ラベル、包装、広告にキャンベルタウンの名を入れられるのは、この区域で蒸溜したウイスキーに限られます。似た名前も、商品の見せ方全体から蒸溜地を誤解させるおそれがあれば使えません。
町の成り立ちと1820年代の開業
町の古い名はキンロッホキルケランで、ゲール語で「キアランの教会のそばの入り江の奥」を意味します。1667年にアーガイル伯アーチボルド・キャンベルがこの土地を得て、17世紀のうちにキャンベルの町という名に変わりました(英語版Wikipedia)。グレンガイル蒸溜所の銘柄名キルケランは、この古い町名のもとになったゲール語から取られています(英語版Wikipediaのグレンガイル蒸溜所の項)。
scotchwhisky.com は、グラスゴーへの速い航路と、近くのマクリハニッシュにあった小さな炭層によって、この町がスコットランドのウイスキーの中心地になったと書いています。1823年の物品税法は蒸溜器の免許料を10ポンドと定め、税を逃れる余地を減らしました(SWA)。このサイトの収録では、キャンベルタウンの13か所のうち11か所が1823年から1832年までの10年間に創業しています。
| 蒸溜所 | 収録上の創業〜閉鎖 |
|---|---|
| キンロック | 1823〜1926年頃 |
| ロックヘッド | 1824〜1924年 |
| ロングロウ(旧) | 1824〜1896年 |
| リークラッハン | 1825〜1934年 |
| ダラルアン | 1825〜1925年 |
| ヘーゼルバーン(旧) | 1825〜1925年 |
| バーンサイド | 1825〜1924年 |
| スプリングバンク | 1828〜稼働中 |
| スプリングサイド | 1830〜1926年 |
| ダリントーバー | 1832〜1925年 |
| グレンスコシア | 1832〜稼働中 |
| ベンモア | 1868〜1927年 |
| グレンガイル | 1872〜1925年、2004年に再開 |
閉鎖年は資料によって数年ずれます。Inside the Cask は、ダラルアンの解体を1922年、ロックヘッドの閉鎖を1928年、リークラッハンの解体を1935年、ベンモアの生産停止を1936年としています。解体された蒸溜所は閉鎖蒸溜所の一覧にもあります。
最盛期の数
最盛期にいくつあったかは、資料によって違います。
| 資料 | 数 |
|---|---|
| スプリングバンク蒸溜所の公式サイト | 30以上 |
| 英語版Wikipedia(キャンベルタウンの項) | 30以上 |
| scotchwhisky.com | いずれかの時期に操業した蒸溜所が35 |
| Inside the Cask が引く郷土史家アンガス・マーティンの研究 | 同時に操業した免許蒸溜所は最大22 |
| 英語版Wikipedia(グレンスコシアの項) | 1800年代の最盛期に21 |
マーティンの22は同時に操業した最大値、scotchwhisky.com の35は時期を問わない合計で、ほかは数え方が示されていません。このため数字を1つに決めていません。
1920年代の閉鎖と、理由の諸説
scotchwhisky.com は、1920年代に蒸溜業が崩れ、スコットランド全体で50の蒸溜所が閉じたなかでも、キャンベルタウンは特に打撃が大きかったと書いています。このサイトの収録とInside the Cask のどちらの閉鎖年でも、1930年代の終わりまでに残ったのはスプリングバンクとグレンスコシアの2か所です。
理由は1つに定まっていません。
- 品質: スプリングバンクの公式サイトは、需要に追いつこうと手を抜く蒸溜所が出て、ブレンダーが品質の安定したモルトをほかの産地に求め、蒸溜所が1つずつ閉じたと説明しています。英語版Wikipediaのキャンベルタウンモルトの項も、クレイ・ライゼンの2018年の著書を引いて、品質を顧みず量を造っていたとしています。
- 米国市場: 英語版Wikipediaのキャンベルタウンの項は、デヴィッド・スタークの2005年の著書『The Distilleries of Campbeltown』を出典に、量の優先に米国の禁酒法と大恐慌が重なったことを挙げています。SWAによると、米国の禁酒法は1920年に始まりました。
その後、スプリングバンクも1979年から1987年まで蒸溜を止めていました(scotchwhisky.com)。
稼働中の3か所
- スプリングバンク: 1828年にウィリアム・リードが免許を取り、1837年に義理の親族のジョン・ミッチェルとウィリアム・ミッチェルに売却しました。scotchwhisky.com は、製麦、蒸溜、熟成、瓶詰めを同じ敷地で行うスコットランドで唯一の蒸溜所としています。スプリングバンク、ロングロウ、ヘーゼルバーンの造り分けは3銘柄の違いで扱っています。
- グレンスコシア: 1832年創業です。公式サイトはキャンベルタウンを「スコットランドで最も小さいウイスキー産地」とし、自らを残る3つの蒸溜所の一つと紹介しています。
- グレンガイル: 1872年にウィリアム・ミッチェルが建て、1925年に閉鎖しました。2000年にスプリングバンクを所有するJ&Aミッチェル社が跡地を買い、2004年に生産を再開しています。公式サイトによると、蒸溜は例年10月から12月の約3か月です。
香味の説明は蒸溜所ごとに違い、町の傾向として語られる特徴にも例外があります。グレンスコシアの公式サイトは自社の特徴を「トロピカルフルーツ、海辺の塩気、豊かでオイリーな口当たり」としています。一方、スプリングバンク蒸溜所の中だけでも、ノンピート麦芽のヘーゼルバーンから、フェノール値50〜55ppmの麦芽を使うロングロウまで分かれています(輸入元ウィスク・イー)。蒸溜所ごとの一覧はキャンベルタウンの蒸溜所にあります。
買うときに見るところ
- ラベルの「Campbeltown」は、サウス・キンタイア選挙区で蒸溜したことを示します。規則第10条は、ほかの場所で蒸溜したウイスキーにこの名を使うことを禁じています。
- スプリングバンク蒸溜所の製品は、ラベルの銘柄名がスプリングバンク、ロングロウ、ヘーゼルバーンに分かれます。ロングロウとヘーゼルバーンは閉鎖した町の蒸溜所から名前を借りたもので、旧蒸溜所の原酒ではありません。ウィスク・イーは、ヘーゼルバーンを1925年に閉鎖した蒸溜所の名で、スプリングバンク蒸溜所が1997年からその名で生産していると説明しています。
- グレンガイル蒸溜所の製品は「Kilkerran」の名で出ています。scotchwhisky.com によると、グレンガイルの商標はブロック兄弟社と、その後のグレンスコシアの所有者に渡っていました。
- 日本の輸入元ウィスク・イーの表記では、キルケラン12年は46%・700ml、樽はバーボン樽70%・シェリー樽30%です。スプリングバンク10年は46%・700ml、バーボン樽60%・シェリー樽40%です。
- グレンスコシアは公式サイトで15年を46%としています。ヴィクトリアーナはカスクストレングスで、公式サイトの表示は54.2%・70clです。カスクストレングスは瓶詰めの時期で度数が変わることがあるので、ラベルの数字で確かめます。
出典
- https://www.legislation.gov.uk/uksi/2009/2890/regulation/10
- https://en.wikipedia.org/wiki/Campbeltown
- https://en.wikipedia.org/wiki/Glengyle_distillery
- https://scotchwhisky.com/whiskypedia/1859/glengyle/
- https://scotchwhisky.com/whiskypedia/1892/springbank/
- https://www.scotch-whisky.org.uk/discover-scotch/story-of-scotch/the-1823-excise-act/
- https://www.scotch-whisky.org.uk/discover-scotch/story-of-scotch/
- https://www.springbank.scot/about/place/
- https://insidethecask.com/2020/02/17/the-distilleries-of-campbeltown/
- https://en.wikipedia.org/wiki/Glen_Scotia_distillery
- https://en.wikipedia.org/wiki/Campbeltown_single_malts
- https://www.glenscotia.com/
- https://www.glenscotia.com/products/victoriana-single-malt-scotch-whisky
- https://kilkerran.scot/
- https://whisk-e.co.jp/products/kilkerran12y/
- https://whisk-e.co.jp/products/springbank10yo/
- https://whisk-e.co.jp/products/longrow/
- https://whisk-e.co.jp/products/hazelburn10y/
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よくある質問
- キャンベルタウンに蒸溜所はいくつありますか。
- このサイトの収録では、稼働中はスプリングバンク、グレンスコシア、グレンガイル(銘柄名はキルケラン)の3か所で、ほかに解体された蒸溜所が10か所あります。スプリングバンクとグレンガイルは、どちらもJ&Aミッチェル社の蒸溜所です。
- 最盛期には蒸溜所がいくつありましたか。
- 資料によって幅があります。スプリングバンクの公式サイトと英語版Wikipediaは30以上、scotchwhisky.com はいずれかの時期に操業した蒸溜所を35としています。Inside the Cask が引く郷土史家アンガス・マーティンの研究では、同時に操業した免許蒸溜所は最大22です。
- キャンベルタウンのウイスキー産業が衰退したのはなぜですか。
- 理由には諸説あります。スプリングバンクの公式サイトは、手を抜く蒸溜所が出てブレンダーがほかの産地に移ったことを挙げています。英語版Wikipediaは、量を優先したことに加えて米国の禁酒法と大恐慌が重なったことを挙げています。閉鎖は1920年代から1930年代に集中しました。