ウイスキーの着色とは|スコッチで足してよいのは水とカラメルだけ
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最終更新 2026-09-29
スコッチウイスキーに加えてよいのは、水とプレーンカラメル(E150a)だけです。カラメルは製品の色をバッチごとにそろえる目的で使われ、甘味や香りをつける目的では使えません。
早見表
| 対象 | カラメルの扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| スコッチ | 加えてよいのは水とプレーンカラメルだけ | 2009年スコッチウイスキー規則 第3条1項(h) |
| EUの規則上のウイスキー | 色の調整に使うプレーンカラメル(E150a)以外の添加物は不可。甘味づけ、香味づけも不可 | EU規則2019/787 附属書I 第2類 |
| 米国のバーボン、ストレートウイスキー | 着色料、香味料、ブレンド材料を加えられない | 米国連邦規則 27 CFR 5.143 |
| ジャパニーズウイスキー | 色調の微調整にカラメルを使うことを認める | 日本洋酒酒造組合の自主基準(2021年4月施行) |
| ドイツで売る場合 | 着色料を使った酒は「mit Farbstoff」と表示する | ドイツ LMZDV 第5条 |
| 日本で売る場合 | 使った添加物は酒類でも表示する(2020年4月以降の製造、輸入分から) | 食品表示基準 |
2009年スコッチウイスキー規則と製品仕様書
The Scotch Whisky Regulations 2009 は第3条1項(h)で、スコッチを「何も加えていないか、加えたものが水、プレーンカラメル着色料、または水とプレーンカラメル着色料だけ」のウイスキーと定め、同項(i)で最低度数を40%としています。定義の全体はスコッチウイスキーとはにまとめています。
英国政府が公開している製品仕様書(2019年6月)は、プレーンカラメルをE150aと明記し、次のように説明しています。
- スコッチの色は主に熟成樽から来る
- 色はE150aで調整してよいが、調整後の色は熟成樽から得られる自然な範囲を超えないこと
- E150aは着色料で、香味づけや甘味づけに使うものではない
度数の調整に使えるのは飲用に適した水で、蒸溜、脱塩、逆浸透などで精製した水も使えます。
EU規則2019/787も、ウイスキーは味を丸める目的であっても甘味をつけてはならず、香味をつけることや、色の調整に使うプレーンカラメル(E150a)以外の添加物を含むことも認めていません。
色をそろえる目的
製品仕様書は、カラメルを使う場面を瓶詰め前のブレンドの工程として説明しています。スコッチは樽ごとに色が違うため、ブレンダーは過去のバッチにできるだけ近い色に仕上げようとし、同じ色にそろえるにはごく少量のプレーンカラメルが必要になることがある、という内容です。カラメルで色を整える方法は19世紀から続いているとも書かれています。
ブルイックラディの公式サイトの過去記事は、E150を使うと、樽の熟成年数や種類、スタイルにかかわらず、製品ごとに毎回同じ色が得られると説明しています。樽の種類の違いはシェリー樽とバーボン樽の違いで扱っています。
E150aはカラメル4種類のうちの1つ
食品添加物のカラメル色素は製法によって4種類に分かれ、EUではE150aからE150dの番号がつきます。英国食品基準庁の一覧では、E150aがPlain caramel、E150bがCaustic sulphite caramel、E150cがAmmonia caramel、E150dがSulphite ammonia caramelです。日本の既存添加物名簿では、同じ4種類をカラメルⅠからⅣとしています。
| EUの番号 | 日本の名簿上の名称 | 製法の違い | スコッチ |
|---|---|---|---|
| E150a | カラメルⅠ | 亜硫酸化合物もアンモニウム化合物も使わない | 使える |
| E150b | カラメルⅡ | 亜硫酸化合物を加える | 使えない |
| E150c | カラメルⅢ | アンモニウム化合物を加える | 使えない |
| E150d | カラメルⅣ | 亜硫酸化合物とアンモニウム化合物を加える | 使えない |
名簿によると、カラメルⅠは、でん粉加水分解物、糖蜜または糖類の食用炭水化物を熱処理するか、酸やアルカリを加えて熱処理して得たもので、亜硫酸化合物とアンモニウム化合物を使っていないものです。ブルイックラディの過去記事は、E150は茶色から黒色で焦がした砂糖のような匂いがあり、グルコースシロップ、ショ糖、デキストロースなどの炭水化物を管理された条件で加熱して作ると説明しています。
ナチュラルカラーの表記
ナチュラルカラーは、カラメルを加えていないことを蒸溜所などが示す表記です。英国の食品情報規則(1169/2011)第16条4項は、アルコール分1.2%を超える飲料を原材料一覧の表示義務から外しており、ドイツの消費者向け情報サイトLebensmittelklarheitも、ウイスキーを含むほとんどの酒類は原材料一覧を載せなくてよいと説明しています。このため、英語のラベルにカラメルの使用が書かれていなくても、それだけでは着色の有無はわかりません。
公式サイトの表現の例です。
| 蒸溜所 | 公式サイトの表現 |
|---|---|
| ブルイックラディ | クラシックラディをcolouring freeと表示。過去記事で、E150は使わず、色はすべて熟成樽のオークからと説明 |
| アラン | 色はすべて樽の木からで、カラメルは加えないと説明。アラン10年の製品ページはnatural colourと表示 |
| キルホーマン | 2017年の告知で、すべてのシングルモルトがnatural colourと説明 |
| ブナハーブン | 12年をnatural colour、no added colourと表示 |
| トバモリー | 12年をnatural colour、no added colourと表示 |
これらの蒸溜所は、公式サイトで冷却濾過をしないことも併せて示しています(ノンチルフィルターとは)。
国や規格による扱いの違い
ドイツの食品添加物施行令(LMZDV)第5条は、包装せずに売る食品などで着色料を使ったものに「mit Farbstoff」の表示を求め、同条5項で、アルコール分1.2%を超える容器包装入りの飲料にもこれを準用しています。Lebensmittelklarheit(2024年8月更新)は、原材料一覧のない酒類でも着色料は表示が必要で、スピリッツでは「mit Farbstoff」の一言で足りると説明しています。不正競争防止団体のWettbewerbszentraleは2011年9月の公表で、2010年末に寄せられた指摘を受け、旧令ZZulV第9条をもとに、カラメルを加えたウイスキーを売る通販サイトの商品説明にもこの表示を求め、2011年8月の確認で表示が改められていたと報告しています。
日本では、国税庁の資料(2020年3月)によると、食品表示基準で酒類は原材料名の表示が不要な一方、添加物は酒類でも表示が必須で、使ったものを原則すべて表示します。添加物の表示は、2020年4月1日以降に製造、加工、輸入されたものから適用されています。既存添加物名簿では、カラメルⅠからⅣのいずれにも「カラメル」「カラメル色素」という名称が併記されており、表示が「カラメル色素」であれば4種類のどれかまではわかりません。スコッチに使えるのは、このうちE150a(カラメルⅠ)だけです。
米国連邦規則27 CFR 5.143の表は、バーボンウイスキーと、ストレートバーボンを含むストレートウイスキーに、着色料、香味料、ブレンド材料を加えることを認めていません。日本洋酒酒造組合の基準(2021年2月12日制定、4月1日施行)は、ジャパニーズウイスキーの要件のなかで、色調の微調整にカラメルを使うことを認めています。
ラベルのどこを見るか
- 英語の表記では Natural Colour、No added colour、Colouring free などが着色なしを示します。
- 英国で売られるボトルには原材料一覧の義務がないため、英語ラベルに何も書かれていないことは、着色していないことを示しません。
- 日本の輸入品は、一括表示の「添加物」の欄を見ます。2020年4月以降に輸入された酒類でカラメルを使ったものは、制度上ここに「カラメル色素」などと表示されます。
- ドイツ向けのボトルやドイツの通販サイトでは「mit Farbstoff」の有無を見ます。
- 製品仕様書は、カラメルで整えた色も樽熟成で得られる自然な範囲を超えないこととしているため、液色の濃さだけでは着色の有無を判断できません。表示の決まり全体はラベル表示のルールにまとめています。
出典
- https://www.legislation.gov.uk/uksi/2009/2890/regulation/3
- https://assets.publishing.service.gov.uk/media/5fd36667e90e07662ed92c85/Scotch_Whisky_Technical_File_-_June_2019.pdf
- https://www.legislation.gov.uk/eur/2019/787/annex/I/adopted
- https://www.legislation.gov.uk/eur/2011/1169/article/16
- https://www.law.cornell.edu/cfr/text/27/5.143
- https://www.yoshu.or.jp/files/libs/1525/202303291553482719.pdf
- https://www.gesetze-im-internet.de/lmzdv/__5.html
- https://www.lebensmittelklarheit.de/fragen-antworten/muessen-bei-spirituosen-die-farbstoffe-angegeben-werden
- https://www.wettbewerbszentrale.de/enthaelt-whisky-zuckerkuloer-muss-hinweis-darauf-in-online-produktbeschreibung-erfolgen/
- https://www.nta.go.jp/taxes/sake/hyoji/shokuhin/pdf/0020002-131.pdf
- https://www.ffcr.or.jp/shokuhin/upload/202fd3d76dd4b6257b8fd71987b73040407057e6.pdf
- https://www.gov.uk/government/publications/approved-additives-and-e-numbers/approved-additives-and-e-numbers
- https://www.bruichladdich.com/blogs/archive/colouring-in-whisky
- https://www.bruichladdich.com/products/bruichladdich-the-classic-laddie
- https://www.arranwhisky.com/our-distillery/our-approach
- https://www.arranwhisky.com/shop-whiskies/arran-single-malts/15-arran-single-malt-10-year-old
- https://www.kilchomandistillery.com/distillery-news/loch-gorm-2017-available-worldwide-from-april-3rd/
- https://bunnahabhain.com/en-us/products/12-year-old
- https://tobermorydistillery.com/en-us/products/tobermory-12-year-old
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よくある質問
- スコッチにカラメルを加えると甘くなりますか。
- 英国政府公開の製品仕様書は、スコッチに使えるプレーンカラメル(E150a)は着色料で、香味づけや甘味づけに使うものではないとしています。EU規則2019/787も、ウイスキーに甘味をつけることを、味を丸める目的であっても認めていません。
- ナチュラルカラーとはどういう意味ですか。
- カラメルを加えず、色が熟成樽だけに由来することを蒸溜所などが示す表記です。英語ではNatural Colour、No added colour、Colouring freeなどと書かれます。英国の規則ではアルコール分1.2%を超える飲料に原材料一覧の表示義務がないため、この表記がないボトルでも、それだけでは着色しているかどうかはわかりません。
- E150aとは何ですか。
- カラメル色素4種類のうち、亜硫酸化合物もアンモニウム化合物も使わずに作るプレーンカラメルを指すEUの番号です。日本の既存添加物名簿ではカラメルⅠに当たります。2009年スコッチウイスキー規則がスコッチに認める着色料はプレーンカラメルだけで、製品仕様書はこれをE150aと明記しています。