グレーンウイスキーとは|原料・蒸溜機・シングルグレーンの定義
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最終更新 2026-09-29
グレーンウイスキーは、大麦麦芽に小麦やトウモロコシなどの穀物を加えた原料を、主に連続式蒸溜機で蒸溜して造るウイスキーです。スコッチでは、大麦麦芽だけを原料にポットスチルで蒸溜するというシングルモルトの条件から外れるものがグレーンに当たり、その多くはブレンデッドスコッチの原酒として使われます。
早見表
| 項目 | モルトウイスキー | グレーンウイスキー |
|---|---|---|
| 原料 | 水と大麦麦芽だけ | 水と大麦麦芽に、小麦やトウモロコシを加えるのが一般的 |
| 大麦麦芽の割合 | 100% | 約10%が一般的 |
| 蒸溜機 | ポットスチルによるバッチ式 | 連続式が一般的。ポットスチルも可 |
| 蒸溜時の度数 | 94.8%未満 | 94.8%未満 |
| 熟成 | 700リットル以下のオーク樽で3年以上 | 同じ |
| 単一蒸溜所の区分 | シングルモルト | シングルグレーン |
| 複数蒸溜所の区分 | ブレンデッドモルト | ブレンデッドグレーン |
原料は小麦とトウモロコシが中心
英国政府が公表しているスコッチウイスキーの技術ファイル(2019年6月版)は、グレーンウイスキーも大麦麦芽を使わなければならず、仕込みには通常ほかの穀物が加わり、最も多く使われるのは小麦とトウモロコシだと説明しています。
スコッチウイスキー協会(SWA)の穀物に関する技術資料(2021年8月、第6版)によると、グレーンは通常、麦芽にしていない軟質の冬小麦かトウモロコシに、酵素の力が強い大麦麦芽を約10%加えて仕込みます。1984年より前はトウモロコシが主な原料でしたが、価格と当時のEEC(欧州経済共同体)の還付金を主な理由に1980年代に小麦へ置き換わり、必要な品質の安定を得るためにトウモロコシへ戻した会社もあると同資料は記しています。英国の蒸溜業界が使う小麦は年70万〜80万トンで、英国の小麦生産量の約5%に当たります。
スコッチの定義は、原料に由来する酵素だけで糖化することを求めています。SWAの同じ資料は、グレーンの仕込みで大麦麦芽がでんぷんの一部と酵素のすべてを担うと説明しています。ライ麦やオーツ麦を仕込みに使う余地もありますが、SWAは伝統的な製法に関わる法的な要件を考える必要があるとして、使う前に協会の法務チームへ相談するよう強く求めています。
技術ファイルによると、麦芽にしていない穀物は湯と合わせて加熱し、でんぷんを溶かしてから約65℃まで冷まし、通常は粉砕した大麦麦芽と混ぜて糖化させます。その後15〜23℃ほどに冷やして酵母を加え、2〜3日かけて発酵させます。
連続式蒸溜機の仕組み
モルトウイスキーのポットスチルは、1回分の発酵液を入れて蒸溜し、終わると中身を入れ替えるバッチ式です。蒸溜を何回繰り返すかは蒸溜回数の違いで扱っています。連続式蒸溜機は、発酵液を止めずに送り込みながら蒸溜を続けられます。
SWAは、1831年にイーニアス・コフィーが連続式の蒸溜を可能にするパテントスチルを発明したと説明しています。業界誌 Scotch Whisky によると、先にロバート・スタインが1827年12月に特許を取り、1830年5月12日にはファイフのキャメロンブリッジ蒸溜所に、スコットランドで初めて稼働するパテントスチルが設置され、認可を受けました。コフィーはダブリンのドック蒸溜所を経営していた1830年に特許を出願し、1831年2月5日に認められています。
コフィー型の蒸溜機は、アナライザーとレクティファイアーという2本の塔からなります。同誌の説明では、アナライザーの底から入った蒸気が上り、上から入れた温かい発酵液が下りる間に、蒸気がアルコールを奪ってレクティファイアーの底へ運びます。レクティファイアーの中には冷たい発酵液を送る管が折り返しながら通っていて、上ってきた蒸気はこの管に触れて冷やされます。ニッカウヰスキーは公式サイトで、1960年代初頭に「カフェスチル(カフェ式連続式蒸溜機)」を導入したと説明しています。
蒸溜時の度数は、スコッチである以上94.8%未満です。技術ファイルは、連続式ではある程度の精留が起きるものの、この上限によってグレーンの蒸溜液は原料に由来する香りと味を保ち、中性のアルコールにはならないと説明しています。
グレーンは連続式で造るものに限りません。技術ファイルは、大麦麦芽だけの麦汁を連続式で蒸溜する方法や、大麦麦芽とほかの穀物の仕込みをポットスチルで蒸溜する方法でもグレーンウイスキーを造れるとしています。ロッホローモンドは公式サイトで、同社のシングルグレーン(70cl・46%)を大麦麦芽だけを使って連続式蒸溜機で蒸溜したと説明しています。原料が大麦麦芽だけでも、ポットスチルで蒸溜しなければシングルモルトにはなりません。
シングルグレーンとブレンデッドグレーン
The Scotch Whisky Regulations 2009 の規則3は、シングルグレーン スコッチウイスキーを、単一の蒸溜所で蒸溜したスコッチウイスキーのうちシングルモルトとブレンデッドスコッチに当たらないもの、と定めています。SWAのガイダンスは、ブレンデッドを除外したのは、同じ蒸溜所のモルトとグレーンを混ぜた製品がシングルグレーンに当たらないようにするためだと説明しています。
ブレンデッドグレーン スコッチウイスキーは、異なる蒸溜所のシングルグレーンを2つ以上混ぜたものです。コンパスボックスは、2000年に同社が最初に造ったウイスキー「ヘドニズム」(43%)を、ブレンデッドグレーン スコッチウイスキーとして販売しています。
「シングル」は単一の蒸溜所という意味で、樽が1つという意味ではありません。1つの樽から詰めた製品はシングルカスクとはで扱っています。5つの区分の全体はスコッチウイスキーとは、モルト側の区分はシングルモルトとブレンデッドの違いで整理しています。
ブレンデッドの原酒としての役割
ブレンデッドスコッチは、1つ以上のシングルモルトと1つ以上のシングルグレーンを混ぜたものです。技術ファイルは、1本のブレンデッドに50種類以上のモルトとグレーンが使われることがあり、配合は各社のブレンダーが秘密にしていると説明しています。
SWAの2021年の技術資料は、グレーンの主な用途はブレンデッドの原酒で、ブレンデッドがスコッチ全体の販売の約9割を占めると説明しています。
ディアジオは、ファイフのキャメロンブリッジ蒸溜所がジョニーウォーカーなど同社のスコッチにシングルグレーンを供給し、同じ蒸溜所でスミノフ、ゴードン、タンカレーも造っていると説明しています。香りについて、技術ファイルはグレーンが一般にモルトより香りと味わいが軽いとし、SWAはモルトウイスキーとは異なる、より穏やかな蒸溜酒だと説明しています。
ラベルのどこを見るか
- スコッチは、瓶の正面に5つのカテゴリー名のどれかを表示することが規則8で義務づけられています。グレーンなら「Single Grain Scotch Whisky」か「Blended Grain Scotch Whisky」、モルトとグレーンを混ぜたものは「Blended Scotch Whisky」です。表示の決まりはカテゴリー名の表示ルールにまとめています。
- カテゴリー名の前に付け足せるのは、そのウイスキーを全量蒸溜したスコットランドの地域や土地の名前だけです。
- 原料の穀物や蒸溜機の種類は、カテゴリー名からはわかりません。小麦かトウモロコシか、連続式かどうかは、蒸溜所やブランドの公式の説明で確かめます。
- 通販の商品名が「ブレンデッド」だけの場合は、ラベルの英語が Blended Scotch Whisky、Blended Malt Scotch Whisky、Blended Grain Scotch Whisky のどれかを確かめます。
- 年数表記や蒸溜年の決まりは、グレーンにもモルトと同じく当てはまります。年号の読み方はヴィンテージ表記とはで扱っています。
- スコッチ以外にも「シングルグレーン」を名乗る製品があります。サントリーの「知多」は、同社がグレーン原酒だけで構成したシングルグレーンウイスキーと説明する製品で、2015年に発売されました。知多蒸溜所はトウモロコシを主原料にグレーンウイスキーを造る蒸溜所です。この区分はスコッチの規則による定義とは別のものです。
出典
- https://www.legislation.gov.uk/uksi/2009/2890/regulation/3
- https://www.scotch-whisky.org.uk/media/2387/guidance-for-bottlers-and-producers_2025.pdf
- https://assets.publishing.service.gov.uk/media/5fd36667e90e07662ed92c85/Scotch_Whisky_Technical_File_-_June_2019.pdf
- https://www.scotch-whisky.org.uk/media/1900/cereals-technical-note-6th-edition-240821.pdf
- https://www.scotch-whisky.org.uk/discover-scotch/enjoying-scotch/scotch-whisky-categories/
- https://www.scotch-whisky.org.uk/discover-scotch/story-of-scotch/
- https://scotchwhisky.com/magazine/whisky-heroes/20740/aeneas-coffey/
- https://www.nikka.com/distilleries/miyagikyo/
- https://www.lochlomondwhiskies.com/products/loch-lomond-single-grain-whisky
- https://www.compassboxwhisky.com/products/hedonism
- https://www.diageo.com/en/news-and-media/stories/2022/diageo-s-largest-distillery-has-received-world-first-recognition-for-water-stewardship
- https://www.suntory.co.jp/whisky/chita/about/
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よくある質問
- グレーンウイスキーとモルトウイスキーの違いは何ですか。
- 原料と蒸溜機です。モルトは水と大麦麦芽だけを原料に、ポットスチルで蒸溜します。グレーンは大麦麦芽に小麦やトウモロコシを加えるのが一般的で、主に連続式蒸溜機で蒸溜します。蒸溜時94.8%未満、700リットル以下のオーク樽で3年以上熟成という条件はどちらも同じです。
- シングルグレーンとは何ですか。
- 単一の蒸溜所で蒸溜したスコッチウイスキーのうち、シングルモルトとブレンデッドスコッチに当たらないものです。The Scotch Whisky Regulations 2009 の規則3が定めています。異なる蒸溜所のシングルグレーンを2つ以上混ぜたものはブレンデッドグレーンと呼びます。
- 大麦麦芽だけで造ればシングルモルトになりますか。
- 蒸溜機によります。シングルモルトの条件はポットスチルによるバッチ式の蒸溜で、スコッチの技術ファイルは、大麦麦芽だけの麦汁を連続式で蒸溜する方法でもグレーンウイスキーを造れるとしています。ロッホローモンドは、大麦麦芽だけを連続式蒸溜機で蒸溜したウイスキーをシングルグレーンとして販売しています。