スコッチと名乗れる条件とは|名乗れないウイスキーと紛らわしい表示

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最終更新 2026-09-29

目次
  1. 早見表
  2. スコットランドではスコッチ以外を造れない
  3. 「Scotch」と書かなくても対象になる
  4. 地域名と似た名前
  5. スコッチを使った飲料とゲール語の呼び名
  6. ラベルのどこを見るか
  7. 出典

スコッチと名乗れるのは、英国の The Scotch Whisky Regulations 2009 が定める条件をすべて満たすウイスキーだけです。スコットランドの蒸溜所で蒸溜し、スコットランド国内で容量700リットル以下のオーク樽に入れて3年以上熟成し、度数40%以上であることなどが条件で、満たさない飲料に「Scotch」と書くことも、スコッチかどうか混同させる見せ方をすることも禁じられています。

早見表

スコッチを名乗れない例満たしていない条件根拠
スコットランドの外で蒸溜したスコットランドの蒸溜所での蒸溜規則3(1)(a)
94.8%以上で蒸溜した94.8%未満での蒸溜規則3(1)(b)
外から酵素を加えて糖化した原料自身の酵素だけでの糖化規則3(1)(a)
700リットルを超える樽やオーク以外の樽で熟成した700リットル以下のオーク樽での熟成規則3(1)(c)
熟成の一部をスコットランドの外で行ったスコットランド国内だけでの熟成規則3(1)(d)
熟成が3年未満3年以上の熟成規則3(1)(e)
水とカラメル着色料以外のものを加えた加えてよいのは水と無添加カラメル着色料(E150a)だけ規則3(1)(h)
度数が40%未満40%以上規則3(1)(i)

定義の全体と5つの区分はスコッチウイスキーとはで、加えてよい着色料はカラメル着色で扱っています。

スコットランドではスコッチ以外を造れない

規則5は、スコットランドでスコッチウイスキー以外のウイスキーを造ることを禁じ、スコッチの製法に合わないウイスキー原酒を造ることも禁じています。規則4の定義では、「造る」には熟成を目的とした保管と、ブレンドを目的とした保管・使用も含まれます(家庭で飲む分を家庭内で混ぜる場合は除く)。

スコッチウイスキー協会 SWA の生産者向けガイダンスは、この規定の目的を、スコットランド産のウイスキーに「Scotch Whisky」とそれ以外という2つの格ができるのを防ぐことだと説明しています。スコッチでないウイスキーをスコットランドで熟成・ブレンドすることも禁じられています。SWAは、これで「whisky – matured in Scotland」のような説明をスコッチでない酒に使えなくしている、と説明しています。

「Scotch」と書かなくても対象になる

規則6(1)は、スコッチウイスキーでない飲料を「Scotch Whisky」または「Scotch」として表示・包装・販売・広告・宣伝することを禁じています。対象は「any drink」で、ウイスキーに限りません。規則6(2)は、それ以外の方法で、その飲料がスコッチかどうかを一般の人が混同するおそれのある見せ方も禁じています。

SWAのガイダンスは、この規則を詐称を意味する「Passing Off」の見出しで扱い、間接的にスコッチだと思わせる見せ方も対象になると説明しています。条文には、どの語や図柄が混同に当たるかの一覧はありません。基準は、一般の人が混同するおそれがあるかどうかです。

地域名と似た名前

保護された地域名は5つで、地区としてキャンベルタウンとアイラ、地方としてハイランド、ローランド、スペイサイドが定められています(規則10(5)(6))。これらの名前は、その地域で蒸溜したスコッチにしか使えません(規則10(1))。対象は「whisky or whisky-based drink」で、スコッチ以外のウイスキーも含みます。ウイスキーを使った飲料では、中のウイスキーがすべてその地域で蒸溜したスコッチである場合に限られます。

地域名そのものでなくても、似た名前で蒸溜地を混同させるおそれがあれば禁止です(規則10(3))。説明覚書は背景として、インドの製品の「Highland Chief」、スペインの製品の「Lowlands」「Speyside」、イタリアの製品の「Islay Cream」を挙げています。規則10の条文が対象にしているのは、ウイスキーとウイスキーを含む飲料です。説明覚書は、ほかの生産者が自分の商品にこれらの語を使うことは引き続きできると説明し、例に「lowland lamb」を挙げています。

例外もあります。附則3は、2009年9月1日より前に登録された商標や社名の一部として地域名が出るだけの場合(スコッチとスコッチを使った飲料が対象)や、ブレンデッドモルト・ブレンデッドグレーン・ブレンデッドで原酒の蒸溜地域を挙げ、原酒がすべて挙げた地域で蒸溜されている場合などを、規則10(1)の対象外にしています。地域の範囲はスコッチの産地で扱っています。

スコッチであっても、蒸溜地を誤解させる見せ方は禁じられています。規則9(4)は、製品全体の見せ方から、実際と別の蒸溜所や場所で蒸溜されたと受け取られるおそれのある表示・包装・広告・宣伝を禁じており、SWAは実在しない蒸溜所を思わせる架空のブランド「GLEN KELSO」を例に挙げています。詳しくは蒸溜所名の表示ルールにまとめています。

スコッチを使った飲料とゲール語の呼び名

規則4は、ウイスキー以外でウイスキーを含む飲料を「whisky-based drink」と定義しています。英国政府(環境・食料・農村地域省 DEFRA)が公表している Technical File は、スコッチウイスキーだけを使って造ったリキュールが伝統的に「Scotch Whisky Liqueur」と呼ばれていると説明しています。また「Scotch Whisky」のスコットランド・ゲール語にあたる「Uisgebeatha Albannach」または「Uisge Beatha Albannach」は、スコッチの表示に添えてよい語として挙がっています。

ラベルのどこを見るか

  • スコッチには、5つの区分名のどれかを容器の正面に書く義務があります(規則8(1))。「Single Malt Scotch Whisky」「Blended Scotch Whisky」などの区分名が、スコッチとしての販売名です。
  • 区分名の直前にある5つの地域名は、その地域で全量を蒸溜したことを示します。オークニーのように5つ以外のスコットランドの地名も、その地で全量を蒸溜したものなら同じ語順で書けます。
  • 「Scotch Whisky Liqueur」はリキュールの呼び方で、5つの区分名には含まれません。
  • 通販では、ボトル正面の写真に写る「Scotch Whisky」の語と区分名が手がかりになります。使ってはいけない語の例はピュアモルトとはにまとめています。

出典

ここで扱ったのはスコッチの定義と表示に関する主なルールです。詳細は原典を確認してください。英国の法令 The Scotch Whisky Regulations 2009、その説明覚書、Technical File for Scotch Whisky の内容を Open Government Licence v3.0 のもとで利用しています。

  • The Scotch Whisky Regulations 2009(規則3〜6・8〜10、附則3): https://www.legislation.gov.uk/uksi/2009/2890/contents
  • 同 説明覚書(12ページ): https://www.legislation.gov.uk/uksi/2009/2890/pdfs/uksiem_20092890_en.pdf
  • SWA「Guidance for Producers and Bottlers」2025年版: https://www.scotch-whisky.org.uk/media/2387/guidance-for-bottlers-and-producers_2025.pdf
  • 英国政府「Technical File for Scotch Whisky」2019年6月版: https://assets.publishing.service.gov.uk/media/5fd36667e90e07662ed92c85/Scotch_Whisky_Technical_File_-_June_2019.pdf

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よくある質問

スコットランドで蒸溜したウイスキーはすべてスコッチですか。
蒸溜地だけでは決まりません。スコッチを名乗るには熟成や度数の条件も満たす必要があり、熟成の一部でもスコットランドの外で行ったもの、熟成が3年未満のもの、700リットルを超える樽で熟成したもの、度数40%未満のものはスコッチウイスキーに当たりません。
「スコッチ」と書いていなければ、規則の対象になりませんか。
対象になります。The Scotch Whisky Regulations 2009 の規則6(2)は、「Scotch」と書く以外の方法でも、その飲料がスコッチかどうかを一般の人が混同するおそれのある表示・包装・販売・広告・宣伝を禁じています。対象はウイスキーに限らず、あらゆる飲料です。
スコッチ以外のウイスキーに「Islay」や「Speyside」と書けますか。
The Scotch Whisky Regulations 2009 のもとでは、原則として書けません。規則10(1)は、キャンベルタウン、アイラ、ハイランド、ローランド、スペイサイドの5つの名前を、その地域で蒸溜したスコッチにしか認めていません。スコッチ以外のウイスキーも対象で、似た名前で蒸溜地を混同させるおそれがある場合も規則10(3)で禁じられています。

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