スコッチの産地区分と法令上の地域定義

スコッチの産地は、スペイサイド・ハイランド・ローランド・アイラ・キャンベルタウン・アイランズの6地域に分けて紹介されるのが一般的です。一方、英国の The Scotch Whisky Regulations 2009 が名前を保護している産地は5つで、アイランズは含まれません。規則10条の定義を確認したうえで、当サイトが収録するスコッチ蒸溜所145件を地域別に数えた結果を示します。

法令が保護する5つの地名

規則10条は、キャンベルタウンとアイラを「保護地区」、ハイランド・ローランド・スペイサイドを「保護地域」として定めています。原文ではそれぞれ protected locality、protected region と呼ばれます。

名称区分法令上の範囲
キャンベルタウン保護地区アーガイル・アンド・ビュート議会サウス・キンタイア選挙区(2006年選挙区令による区割り)
アイラ保護地区アーガイルのアイラ島
ハイランド保護地域境界線より北側のスコットランド
ローランド保護地域境界線より南側のスコットランド
スペイサイド保護地域マリー議会の8選挙区(エルギン、フォレスなど)とハイランド議会のバデノック・アンド・ストラスペイ選挙区

地名を表示できる条件

これらの地名をラベル・包装・広告に使えるのは、そのスコッチがその地区・地域で蒸溜された場合に限られます(規則10条1項)。条件は蒸溜した場所のみで、熟成や瓶詰めの場所は問いません。似た名前でも、蒸溜地を誤認させるおそれがあれば使えません(同3項)。附則3の例外として、2009年9月1日より前に登録された商標・社名の一部である場合や、蒸溜業者・販売者の住所として記す場合などは、この制限を受けません。

ハイランドとローランドの境界線

規則10条7項が定める境界線は、北海峡からクライド湾の南岸に沿ってグリーノックへ進み、カードロス駅を経てキャンプシー丘陵のアールズ・シート山頂、ウォレス記念塔までを直線で結びます。そこからB998号線とA91号線に沿って東へ進み、ミルナソートでM90号線に入って北上し、ブリッジ・オブ・アーンからアーン川に沿ってテイ川との合流点まで進み、テイ川とテイ湾の南岸に沿って北海に至ります。

スペイサイドとハイランドの違い

スペイサイドはハイランドと並ぶ別の地域ではなく、その内側に設けられた区域です。ハイランドは境界線より北の全域、スペイサイドは選挙区単位で範囲が決められています。スコッチウイスキー協会は、キャンベルタウン、スペイサイド、アイラもハイランド地域の内側にあり、蒸溜業者はどちらの表示も選べると説明しています。

スペイサイドで蒸溜されたシングルモルトは、法令上「スペイサイド」とも「ハイランド」とも表示できます。当サイトでは両者を分けて収録し、スペイサイド54件、ハイランド43件です。稼働中の蒸溜所には、スペイサイドにグレンリベットやマッカラン、ハイランドにグレンモーレンジィやダルモアなどがあります。

アイランズは法令上の区分ではない

アイランズは、オークニー諸島やスカイ島など島々の蒸溜所をまとめて呼ぶ慣用の区分です。スコッチウイスキー協会は、「アイランズ」はスコットランドの地名でも地域名でもないため、カテゴリー名に添える表示には使えないとしています。一方で、原酒がすべてその土地で蒸溜されていれば5つ以外の地名も表示でき、同協会は「Fife Single Grain Scotch Whisky」「Orkney Blended Malt Whisky」を例に挙げています。島々は境界線の北側にあたるため、法令上はハイランド地域に入ります。

当サイトはアイランズに7件を収録しています。オークニー諸島のハイランドパーク、スカイ島のタリスカーのほか、アラン島・ジュラ島・マル島のトバモリーなどがあります。

地域別の蒸溜所数

当サイトの地域欄は、法令の5区分にアイランズを加えた6区分で整理しています。収録145件を地域と状態で数えると次のとおりです。稼働中には、状態が「再建」のアイラのポートエレンを含めています。創業年は当サイトのデータに記録された年です。

地域収録稼働中閉鎖・解体稼働中のうち2000年以降の創業
スペイサイド544772
ハイランド4332113
ローランド171076
アイラ111012
キャンベルタウン133100
アイランズ7701
合計1451093614

閉鎖・解体の36件は、状態が「解体」のものが33件、「閉鎖」のものが3件です。

ローランドは稼働中10件のうち6件が2005年以降の創業で、ダフトミル(2005年)やキングスバーンズ(2014年)などです。残り4件は2000年より前からの稼働で、解体済みも7件あります。

キャンベルタウンは13件のうち10件が解体済みで、7件は創業年が1823年から1825年に集中しています。稼働中はスプリングバンクなど3件です。

アイラの稼働中10件には、2005年創業のキルホーマン、2018年創業のアードナホーのほかアードベッグなどがあり、解体済みは1件です。

ハイランドの閉鎖11件はすべて解体済みで、うち3件はインヴァネスにありました。2000年以降の創業はウルフバーンなど3件です。

スペイサイドの閉鎖7件のうちコンバルモア・ダラスドゥーの2件は状態が「閉鎖」、残り5件は「解体」です。2000年以降の創業はローズアイル・バリンダロッホの2件です。操業を終えた蒸溜所は閉鎖蒸溜所一覧にまとめています。

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よくある質問

スペイサイドのウイスキーを「ハイランド」と表示できますか。
できます。規則10条はスペイサイドをハイランド地域の内側に定めており、スコッチウイスキー協会も、スペイサイド・アイラ・キャンベルタウンの蒸溜業者はどちらの表示を使うかを選べると説明しています。
アイランズは法律で定められた産地ですか。
いいえ。規則10条が保護する地名はハイランド、ローランド、スペイサイド、アイラ、キャンベルタウンの5つです。スコッチウイスキー協会は、アイランズはスコットランドの地名でも地域名でもないため、カテゴリー名に添える表示には使えないとしています。オークニーのような実在の地名は、原酒がすべてそこで蒸溜されていれば表示できます。
産地名は熟成した場所で決まりますか。
規則10条が地名表示の条件にしているのは、蒸溜した場所です。地名を表示できるのは、その地区・地域で蒸溜されたスコッチに限られ、条文は熟成や瓶詰めの場所には触れていません。
スコッチの産地はいくつありますか。
法令が保護する地名は5つで、慣用ではアイランズを加えた6地域で語られます。当サイトは6地域で145件を収録しており、内訳はスペイサイド54件、ハイランド43件、ローランド17件、キャンベルタウン13件、アイラ11件、アイランズ7件です。

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