スコッチウイスキーの歴史とは|1494年の記録と2009年の規則

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最終更新 2026-09-30

目次
  1. 早見表
  2. 1494年の財務記録
  3. 課税、密造、1823年の物品税法
  4. 連続式蒸溜機とフィロキセラ
  5. パティソン社の破綻と王立委員会
  6. 熟成期間の義務と1988年・2009年の法令
  7. 買うときに見るところ
  8. 出典

スコッチウイスキーの歴史で、文書に残る最も古い記録とされるのは1494年のスコットランドの財務記録です。修道士ジョン・コーに「アクア・ヴィテ」(命の水)を造るための麦芽を渡したという記載で、その後、1644年の課税と密造、1823年の物品税法、1830年前後の連続式蒸溜機の特許、1909年の王立委員会の結論、1915年の熟成期間の義務化を経て、いまの定義は2009年のスコッチウイスキー規則が定めています。

法令上の定義と5つの区分はスコッチウイスキーとはで扱っています。

早見表

年出来事
1494年財務記録に「修道士ジョン・コーに麦芽8ボル、アクア・ヴィテを造るため」
1644年スコッチに初めて税がかかる
1820年代密造の蒸溜器が年に14,000も押収される
1823年物品税法。免許料10ポンドで蒸溜を認める
1830〜31年コフィーが連続式蒸溜機の特許を1830年に出願し、1831年2月に取得
1880年代害虫フィロキセラがフランスのブドウ畑を荒らす
1898年エディンバラのパティソン社が破綻
1908〜09年王立委員会がウイスキーの定義を検討し、1909年7月に報告
1915年未熟成蒸溜酒(制限)法で、国内向けの蒸溜酒に最低貯蔵期間
1933年まで英国の法律で初めてスコッチを定義
1988年スコッチウイスキー法が成立
2009年スコッチウイスキー規則が11月23日に施行

1494年の財務記録

スコッチウイスキー協会(SWA)は、スコットランドで蒸溜を記した最も古い文書を1494年の財務記録とし、その記載を「修道士ジョン・コーに麦芽8ボル、アクア・ヴィテを造るため」と紹介しています。SWAは、この麦芽で1,500本近いスピリッツを造れたと説明しています。業界は1994年に、スコットランドでのウイスキー造りの500年を祝いました(SWA)。

ジョン・コーの所属には説があります。ファイフのリンドーズアビー蒸溜所はリンドーズ修道院のティロン会の修道士とし、英語版Wikipediaはドミニコ会の修道士で、どの修道院にいたかは記録そのものからは分からない(エディンバラのドミニコ会修道院とする研究者の説がある)としています。記録の日付も、英語版Wikipediaは1495年6月1日としています。

課税、密造、1823年の物品税法

SWAによると、スコッチへの最初の課税は1644年で、これを機に密造が広がりました。1820年代には密造の蒸溜器が年に14,000も押収され、スコットランドで飲まれるウイスキーの半分以上が無税だったとされます。

1823年7月18日に成立した物品税法は、蒸溜器の免許料を10ポンドとし、税率を定め、税を払う前の蒸溜酒を倉庫で貯蔵することを認めました(SWA)。業界誌 Scotch Whisky によると、マッカランは1824年にこの法律による新しい免許を取って合法になりました。1820年代に蒸溜所の開業が続いた経緯は、スペイサイドモルトとキャンベルタウンのウイスキーでも扱っています。

連続式蒸溜機とフィロキセラ

業界誌 Scotch Whisky によると、ロバート・スタインが1827年12月に、連続式蒸溜の次の段階につながる最初の特許を登録し、イーニアス・コフィーはダブリンのドック蒸溜所を経営していた1830年に特許を出願して、1831年2月5日に認められました。SWAはこれを「1831年にコフィーがパテントスチルを発明した」と書いています。連続式で造るグレーンウイスキーはグレーンウイスキーとはにまとめています。

1880年代には、害虫フィロキセラがフランスのブドウ畑を荒らしました。SWAは、ワインとブランデーが数年のうちにほとんど姿を消し、フランスの生産が回復するころにはスコッチがブランデーに代わって好まれる蒸溜酒になっていたと説明しています。一方で、影響が大きく語られすぎているという説もあります。Whisky Magazine の2018年の記事は、1860年に英国で飲まれたブランデーが150万ガロン、ウイスキーが2,000万ガロンだったとして、ウイスキーの人気はブランデーの衰えより50年以上前からあったとしています。

パティソン社の破綻と王立委員会

業界誌 Scotch Whisky によると、パティソン兄弟の会社は1896年に株式を公開しましたが、1898年12月5日に優先株が55%下がり、数日後にクライズデール銀行が融資を断って清算に入りました。約50万ポンドの行方が分からず、兄弟は1901年に禁錮刑を受けています。同誌は、この破綻で蒸溜所の新設が止まり、次にハイランドで新しい蒸溜所ができたのは1949年のタリバーディンだったとしています。

同じころ、ウイスキーの定義も争われていました。ロンドンのイズリントン区での訴追では、治安判事がスコッチやアイリッシュをポットスチルで造った蒸溜酒とする判断を示しましたが、控訴審では決着しませんでした。政府は1908年2月に「ウイスキーその他の飲用蒸溜酒に関する王立委員会」を設けると発表し、委員会は37回の会合を経て1909年7月に報告しました。報告はウイスキーを、麦芽のジアスターゼで糖化したもろみを蒸溜して得たスピリッツとし、スコッチウイスキーをそのうちスコットランドで蒸溜したものとしました。ポットスチルと連続式蒸溜機を区別せず、ブレンドに入れるモルトの割合の下限も、熟成期間の義務も設けていません(同誌)。

熟成期間の義務と1988年・2009年の法令

熟成期間の下限は、第一次世界大戦中の1915年の未熟成蒸溜酒(制限)法から始まりました。貴族院の議事録によると、法案は国内向けに出す蒸溜酒に保税倉庫で3年以上の貯蔵を求め、施行から1年間は1ガロンあたり1シリングの追加の税を払えば2年で出せるとしていました。同年7月の庶民院の答弁は、2年未満の原酒を含むブレンドは国内向けに出せないと説明しています。

SWAは、英国の法律で初めてスコッチが定義されたのは1933年までと説明しています。1988年6月28日に成立したスコッチウイスキー法は、スコッチの定義に合わないウイスキーをスコットランドで造ることを禁じ、ウイスキーの条件に、94.8%未満での蒸溜と、容量700リットル以下の木樽での3年以上の熟成を挙げました。

2009年のスコッチウイスキー規則は2009年11月23日に施行され、規則2で1988年の法律を廃止しました。規則3は、94.8%未満での蒸溜、スコットランド国内の700リットル以下のオーク樽での3年以上の熟成、40%以上での瓶詰めなどを条件とし、5つの区分を置いています。表示の決まりはラベル表示ルールにまとめています。

1919〜20年に竹鶴政孝が実習した蒸溜所は竹鶴政孝のスコットランド留学で扱っています。

買うときに見るところ

  • 「Scotch Whisky」と書かれた瓶の中身は、年数表記のないものも含めて、700リットル以下のオーク樽で3年以上熟成し、40%以上で瓶詰めされています(2009年規則の規則3)。
  • 区分名は、シングルモルトなど5つのどれかが容器の正面に書かれています(規則8)。2009年の規則より前の瓶には「Pure Malt」と書かれたものがありますが、今のスコッチでは使えない表示です(規則11)。
  • ラベルや箱にある「Established」「Est.」「Since」に続く年は、中身の蒸溜年や熟成年数を示す表示ではありません。規則12は、熟成年数は年で書くこと、蒸溜年を書けるのはその年に蒸溜した原酒だけのときで、瓶詰め年か熟成年数を同じ面に並べることを定め、熟成年数や蒸溜年と紛らわしい数字の表示も禁じています。

出典

  • https://www.scotch-whisky.org.uk/discover-scotch/story-of-scotch/
  • https://www.scotch-whisky.org.uk/discover-scotch/story-of-scotch/the-1823-excise-act/
  • https://lindoresabbeydistillery.com/friar-john-cor/
  • https://en.wikipedia.org/wiki/John_Cor
  • https://en.wikipedia.org/wiki/Scotch_whisky
  • https://scotchwhisky.com/whiskypedia/1879/macallan/
  • https://scotchwhisky.com/magazine/whisky-heroes/20740/aeneas-coffey/
  • https://whiskymag.com/articles/phylloxera-brandy-and-whisky/
  • https://scotchwhisky.com/magazine/whisky-heroes/7852/the-pattison-brothers/
  • https://scotchwhisky.com/magazine/features/16639/what-is-whisky-the-legal-fight/
  • https://api.parliament.uk/historic-hansard/lords/1915/may/19/immature-spirits-restriction-bill
  • https://api.parliament.uk/historic-hansard/commons/1915/jul/12/immature-spirits-restriction-act-age-of
  • https://www.legislation.gov.uk/ukpga/1988/22/enacted
  • https://www.legislation.gov.uk/uksi/2009/2890/made
  • https://www.legislation.gov.uk/uksi/2009/2890/regulation/2/made
  • https://www.legislation.gov.uk/uksi/2009/2890/regulation/7/made
  • https://www.legislation.gov.uk/uksi/2009/2890/regulation/12/made

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よくある質問

スコッチウイスキーの起源はいつですか。
文書に残る最も古い記録は1494年のスコットランドの財務記録で、修道士ジョン・コーにアクア・ヴィテを造るための麦芽8ボルを渡したと書かれています。スコッチウイスキー協会は、1,500本近いスピリッツを造れる量と説明しています。英語版Wikipediaは記録の日付を1495年6月1日としています。
スコッチの3年熟成の決まりはいつからですか。
始まりは1915年の未熟成蒸溜酒(制限)法です。貴族院の議事録によると、国内向けの蒸溜酒に保税倉庫で3年以上の貯蔵を求め、施行から1年間は1ガロンあたり1シリングの追加の税を払えば2年で出せました。いまは2009年のスコッチウイスキー規則の規則3が、スコットランド国内の700リットル以下のオーク樽で3年以上の熟成を定めています。
パティソン事件とは何ですか。
エディンバラのパティソン兄弟の会社が1898年に破綻した出来事です。業界誌 Scotch Whisky によると、1898年12月5日に優先株が55%下がり、数日後にクライズデール銀行が融資を断って清算に入りました。約50万ポンドの行方が分からず、兄弟は1901年に禁錮刑を受けています。同誌は、この破綻で蒸溜所の新設が止まったとしています。

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