シェリー樽とバーボン樽の違い

スコッチの説明によく出てくる「シェリー樽」「バーボン樽」「ファーストフィル」は、樽に以前何が入っていたか、樽材、詰めた回数を表す言葉です。このページでは法令が定める樽の条件を確認し、樽材、シーズニング、ファーストフィルとリフィルの意味を出典に沿って整理します。スコッチの定義全体はスコッチウイスキーとはにまとめています。

法令が定める樽の条件

The Scotch Whisky Regulations 2009 は第3条1項で、熟成について次の条件を定めています。

号規定の内容
c容量700リットル以下のオーク樽でのみ熟成すること
dスコットランド国内でのみ熟成すること
e3年以上熟成すること
f保税倉庫または許可された場所でのみ熟成すること
g原料と製法・熟成に由来する色、香り、味を保っていること

以前の中身は規則本文になく、英国政府公開の製品仕様書(2019年6月)が定めます。仕様書は、新しいオーク樽か、ワイン(酒精強化ワインを含む)、ビール、蒸溜酒の熟成に使われたオーク樽を使うこととしています。ただし、核果類を原料とする酒、発酵後に果実や香料、甘味を加えたビール、蒸溜後にそれらを加えた蒸溜酒に使われた樽は除かれ、以前の熟成がその酒の伝統的な製法の一部であることも条件です。樽は前の中身を空にしてから詰めます。

シェリー樽とバーボン樽は前の中身による呼び名

仕様書は、スコッチは通常ほかの蒸溜酒やワインに使われた樽で熟成され、木の風味がウイスキーを覆わないようにしていると説明しています。使用済みの樽は修理・組み直しの後、トースト、デチャー、チャーを施して使われます。

米国連邦規則集第27編5.143条により、バーボンは内側を焦がした新しいオーク樽でのみ貯蔵でき、使用済み樽の再利用はできません。スコッチは新樽でなくてよく、使用済み樽も条件を満たします。

呼び名以前に入っていた酒樽材についての出典の記述
シェリー樽スペイン・ヘレス地方の酒精強化ワイン米国産ホワイトオークのほか、スペイン産オークやフランス産オーク
バーボン樽米国のウイスキー規則上は内側を焦がした新しいオーク樽。標準的な樽は米国産オークで約200リットル

樽材の違い

樽材学名出典の記述
アメリカンホワイトオークQuercus alba主に米国東部とカナダの一部に分布。バーボンとテネシーウイスキーの樽に使われ、シェリーの熟成でも好まれる
ヨーロピアンオークQuercus robur、Quercus petraeaスペインやポルトガルで500〜600リットルの樽に加工される
スペイン産オークQuercus pyrenaicaシェリー樽にも使われる

専門サイトのwhisky.comは、風味への影響について、アメリカンホワイトオークはバニラやキャラメル、ヨーロピアンオークはスパイシーで苦みのある要素と整理しています。

ただし、シェリー樽はヨーロピアンオークに限りません。シェリーの原産地呼称を管理するヘレスの統制委員会は、シェリーの熟成に米国産ホワイトオークが好まれるとしており、マッカランの公式サイトもヨーロピアンオークとアメリカンオーク双方をシェリーでシーズニングしていると記しています。

シーズニングとは

シーズニングは、ウイスキーを詰める前の樽にシェリーを入れて置き、樽材にワインの成分をしみ込ませる工程です。マッカランの公式サイトは、スペインのボデガで樽をシェリーで満たして数か月置き、空にしてスペイサイドへ運び、原酒を詰めると説明しています。

ヘレスの統制委員会によると、シーズニングに最も多く使われるシェリーはオロロソで、フィノやペドロ・ヒメネスも使われます。影響はワインとの接触期間とシェリーの種類で変わり、1つの樽の板材に最大15リットルのワインがしみ込むという試算も示されています。同委員会は2015年から「Sherry Cask」の証紙制度を設け、樽ごとに情報、使ったワイン、シーズニング期間をたどれます。

容量は、ヘレスで熟成に使う標準の樽が600リットル、輸出用の樽が500リットルです。同委員会の資料には700リットルの樽もあり、スコッチの上限と同じ容量です。

ファーストフィルとリフィル

whisky.comは、ファーストフィルを、樽の本来の用途(バーボンやシェリー、ポートワイン)ではなく、スコッチモルトウイスキーを初めて詰めることを指す言葉と説明しています。熟成後の樽に次の原酒を詰めて再使用するのがリフィルで、樽を使うほど影響は弱まり、有効な香味成分の大半が抽出されるまで通常3〜4回詰められます。ボトラーによっては、ラベルの表記で樽の使用の度合いを示しています。

表記意味
ファーストフィル前の中身を出したあと、初めてスコッチを詰めた樽
セカンドフィル2回目にスコッチを詰めた樽。製品名に使われる例がある
リフィル再びスコッチを詰めて使う樽の総称
再生樽内側を数ミリ削り、トーストとチャーをやり直した樽

フィニッシュとの関係

スコッチウイスキー協会は、フィニッシュ(後熟)を、熟成の終わりに、ほかのワインや蒸溜酒が入っていた空の樽へ移し、比較的短い期間さらに熟成させることと説明しています。製品仕様書は、バーボン樽で12年熟成させたシングルモルトを、シェリーやポートワインの樽でフィニッシュする例を挙げ、ラベルに熟成やフィニッシュに使った樽の種類を記すことも認めています。

公式の説明にみる蒸溜所の例

蒸溜所地域公式サイトの樽の説明
マッカランスペイサイドシェリーでシーズニングしたヨーロピアンオーク樽とアメリカンオーク樽。シェリーオーク12年は主にヨーロピアンオーク樽
グレンドロナックハイランドアンダルシアのボデガから選んだ、ペドロ・ヒメネスとオロロソのスペイン産オーク樽
グレンファークラススペイサイドスペインの家族経営のボデガ1軒から、オロロソ熟成のヨーロピアンオーク樽を選ぶ
ラフロイグアイラほぼすべての原酒を、少なくとも一部の期間、ケンタッキー州のメーカーズマークから調達した元バーボン樽で熟成
オーヘントッシャンローランド「アメリカンオーク」は元バーボンのアメリカンオーク樽。トラベル限定「アメリカンオーク・リザーブ」はファーストフィルのバーボン樽のみ

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よくある質問

シェリー樽はすべてヨーロピアンオークでできていますか。
いいえ。シェリーの原産地呼称を管理するヘレスの統制委員会は、シェリーの熟成には米国産ホワイトオークが好まれ、スペイン産オークやフランス産オークの樽も使われると説明しています。マッカランも、ヨーロピアンオークとアメリカンオークの両方の樽をシェリーでシーズニングしていると公式サイトに記しています。
ファーストフィルとは何ですか。
バーボンやシェリーなど樽の本来の中身を出したあと、初めてスコッチを詰めた樽のことです。本来の用途は回数に数えません。熟成を終えた樽に次の原酒を詰めて再使用するものはリフィルと呼ばれます。
スコッチの熟成に使える樽に決まりはありますか。
The Scotch Whisky Regulations 2009 は、容量700リットル以下のオーク樽で、スコットランド国内で3年以上熟成させることを定めています。以前の中身については製品仕様書(2019年6月版)が、新しいオーク樽か、ワイン、ビール、蒸溜酒の熟成に使われたオーク樽とし、核果類の酒や、後から果実・香料・甘味を加えた酒に使われた樽を除いています。
スコッチの熟成にバーボン樽を使えるのはなぜですか。
米国の規則ではバーボンは内側を焦がした新しいオーク樽で貯蔵することになっており、熟成を終えた樽をバーボンに再び使うことはできません。一方、スコッチは新樽である必要がなく、製品仕様書も、スコッチは通常ほかの蒸溜酒やワインに使われた樽で熟成されると説明しています。
シーズニングとは何ですか。
ウイスキーを詰める前の樽にシェリーを入れて置き、樽材にワインの成分をしみ込ませる工程です。ヘレスの統制委員会によると、最も多く使われるシェリーはオロロソで、フィノやペドロ・ヒメネスも使われます。

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