スコッチの造り方とは|製麦から瓶詰めまでの6工程と使える原料
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最終更新 2026-09-30
スコッチは、大麦を麦芽にする製麦、麦芽を湯に溶かす糖化、酵母による発酵、銅の蒸溜器での蒸溜、オーク樽での熟成、瓶詰めの6工程で造られます。原料は水と大麦麦芽と酵母で(グレーンウイスキーはほかの穀物も使えます)、あとから加えてよいのは水とカラメル色素(E150a)だけです。
ここでは The Scotch Whisky Regulations 2009 の規則3と、英国政府が公開している製品仕様書(2019年6月版)をもとに、モルトウイスキーの流れを工程ごとに短くまとめます。各工程の詳しい話は、それぞれのページで扱っています。
早見表
| 工程 | 何をするか | 数字の例 |
|---|---|---|
| 製麦 | 大麦を水に浸けて発芽させ、キルンで乾かす | 浸麦は伝統的に2〜3日 |
| 糖化 | 挽いた麦芽を湯と混ぜ、糖を含む麦汁を取る | オーヘントッシャンは63.5℃ |
| 発酵 | 麦汁に酵母を加え、ウォッシュにする | ウォッシュは約8% |
| 蒸溜 | 銅のポットスチルで2回蒸溜するのが普通 | 94.8%未満で蒸溜 |
| 熟成 | 加水して樽に詰め、スコットランドで寝かせる | 700リットル以下のオーク樽で3年以上 |
| 瓶詰め | 濾過し、水で度数を整える | 40%以上 |
使える原料と、加えてよいもの
規則3は、スコッチを、スコットランドの蒸溜所で水と大麦麦芽から蒸溜したウイスキーと定め、ほかの穀物は全粒のものに限って加えてよいとしています。仕込み、糖化、発酵は同じ蒸溜所で行い、糖化に使えるのは原料自身の酵素だけ、発酵は酵母を加えることでしか行えません。製品仕様書は、外から酵素を加えられない点を、ほかの国のウイスキーとの違いに挙げています。
| 項目 | 法令と製品仕様書の条件 |
|---|---|
| 穀物 | 大麦麦芽。ほかの穀物は全粒のものだけ(主に小麦とトウモロコシ) |
| 酵素 | 原料自身のものだけ。外から加えるのは不可 |
| 発酵 | 酵母を加えることだけで行う |
| あとから加えてよいもの | 水、プレーンカラメル(E150a)、またはその両方 |
| 度数の調整に使う水 | 飲用に適した水。蒸溜、脱塩、逆浸透で精製した水も可 |
大麦がスコットランド産である必要はありません。スコッチウイスキー協会(SWA)の穀物に関する技術資料(2021年8月、第6版)は、スコットランド産の穀物だけを使う決まりはこれまでなかったと書き、スコットランドの農業団体SAOSの推計として、2019年に蒸溜所で使われた春まき大麦の93%がスコットランド産だったと紹介しています。シングルモルトは大麦麦芽だけで造り、グレーンは小麦やトウモロコシが中心です。グレーン側の造り方はグレーンウイスキーとはで扱っています。
製麦から発酵まで
製品仕様書は、伝統的な製麦を次のように説明しています。大麦を2〜3日水槽に浸け、製麦所の床に広げて発芽させ、キルンで乾かして発芽を止めます。多くのモルト蒸溜所に見られるパゴダ形の煙突は、このキルンの目印です。いまも自前で製麦する蒸溜所がある一方、製麦会社から麦芽を買う蒸溜所もあると仕様書は書いており、SWAの技術資料は、蒸溜所は通常、製麦会社との契約で麦芽を仕入れると説明しています。SWAの職業紹介のページによると、製麦には最長で1週間ほどかかります。乾燥にピートを焚くと、煙が金網の床を通って麦芽に香りをつけます。仕様書によると、効かせ方はまったく使わないものから強いものまで蒸溜所が決めます。ppmの数字の意味はピートとppmで扱っています。
法令が同じ蒸溜所で行うよう求めているのは仕込みから蒸溜までで、製麦は含まれません。すべてを1か所でそろえる例として、キルホーマンは、ロックサイド農場の名を冠したリリースについて、大麦の栽培から製麦、ピート焚き、蒸溜、熟成、瓶詰めまでを同じ農場で行うと説明しています。
麦芽は粗く挽いてグリストにし、マッシュタンで湯と混ぜます。でんぷんが糖に変わり、麦汁(ワート)ができます。オーヘントッシャンは、麦芽と水を63.5℃で糖化槽に入れると説明しています。麦汁をウォッシュバックに移して酵母を加えると、ホップを使わないビールに近い香りと味のウォッシュになり、オーヘントッシャンはその度数を約8%としています。仕様書によると、スコットランドの涼しい気候では発酵を低い温度で始め、33℃ほどまで自然に上がるに任せられます。発酵時間は蒸溜所によって違い、ノックニーアンは、スコッチでは60時間が一般的としたうえで、自社は68〜114時間発酵させると説明しています。
蒸溜
モルトウイスキーは通常、銅のポットスチルで2回蒸溜します。1回目は大きめの初溜釜(ウォッシュスチル)で、得た液をローワインと呼びます。2回目のやや小さい再溜釜(スピリットスチル)では、最初に出る部分(フォアショッツ)と終わりの部分(フェインツ)を除き、中間(ミドルカット)だけを熟成用に取ります。除いた部分は次のローワインと一緒に蒸溜し直します。3回蒸溜や2.5回蒸溜の蒸溜所は蒸溜回数の違いで扱っています。
法令が定めるのは回数ではなく度数で、原料と製法に由来する香りと味が残るよう、94.8%未満で蒸溜することを求めています。シングルモルトはポットスチルでの蒸溜が条件で、グレーンウイスキーは多くが連続式の蒸溜機で造られます。
樽熟成
蒸溜したての原酒(ニューメイク)は、樽に詰める前に60〜70%ほどへ加水するのが普通だと仕様書は説明しています。法令の条件は、容量700リットル以下のオーク樽で、スコットランド国内の保税倉庫などで3年以上熟成させることです。3年を経るまではスコッチウイスキーと呼べません。前に何を入れた樽を使えるかはウイスキー樽の種類にまとめています。
仕様書は、熟成で荒い成分が和らぎ、樽から成分が加わり、原酒の組成そのものも変わると説明しています。実際には5年から12年、18年、それ以上寝かせるものが多く、毎年平均2%が樽から蒸発します。スコットランドの涼しく湿った気候では、水よりアルコールが多く蒸発して、樽の中の度数が下がると仕様書は書いています。
瓶詰めの前にすること
仕様書によると、すべてのスコッチは瓶詰め前に濾過して、熟成中に混じった木片を除きます。低温で濁らないように冷やして濾過する冷却濾過も一般的ですが、濁りを防ぐ範囲を超えて色や香り、味を取り除くことは認められていません。
度数は飲用の水で整え、瓶詰め時に40%以上が必要です。色はバッチごとにそろえるためにプレーンカラメル(E150a)で調整してよく、香りや甘味をつける目的では使えません。国ごとの表示の違いはウイスキーの着色にまとめています。熟成後に加水しないカスクストレングスは、熟成を終えたときの度数のまま瓶に入ります。
製品仕様書(2019年6月)は、シングルモルトをスコットランドの外で瓶詰めすることを認めていません。シングルグレーンと、ブレンデッドモルト、ブレンデッドグレーン、ブレンデッドスコッチは、木の樽のまま国外へ運ぶことが禁じられていますが、仕様書によると、シングルモルト以外のスコッチは、ばら積みの容器で運んでほかの国で瓶詰めすることがあります。
買うときに見るところ
- 「Single Malt Scotch Whisky」: 単一の蒸溜所で、水と大麦麦芽だけからポットスチルで蒸溜したものです。ほかの区分との違いはシングルモルトとブレンデッドの違いにあります。
- 年数表記: 瓶の中で最も若い原酒の年数で、平均ではありません。
- 「Peated」: ピートを焚いて乾かした麦芽を使ったことを示します。
- 「Non Chill-Filtered」: 冷却濾過をしていないことを示します。
- 「Natural Colour」: カラメルを加えていないことを示します。
- 「Cask Strength」: 熟成後に加水していないことを示します。
- 瓶詰めの場所: 2012年11月23日以降にスコットランドから出たシングルモルトは、スコットランドで小売用の瓶に詰めたものです。
出典
- https://www.legislation.gov.uk/uksi/2009/2890/regulation/3
- https://www.legislation.gov.uk/uksi/2009/2890/regulation/7
- https://assets.publishing.service.gov.uk/media/5fd36667e90e07662ed92c85/Scotch_Whisky_Technical_File_-_June_2019.pdf
- https://www.scotch-whisky.org.uk/media/1900/cereals-technical-note-6th-edition-240821.pdf
- https://careers.scotch-whisky.org.uk/job-role/maltster/
- https://www.auchentoshan.com/our-process
- https://www.kilchomandistillery.com/
- https://ncnean.com/pages/whisky-production
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よくある質問
- スコッチウイスキーの原料は何ですか。
- 水と大麦麦芽と酵母です。The Scotch Whisky Regulations 2009 は、ほかの穀物は全粒のものに限って加えてよいとし、英国政府の製品仕様書によると、グレーンウイスキーでは主に小麦とトウモロコシが使われます。糖化に使えるのは原料自身の酵素だけで、外から酵素を加えることはできません。シングルモルトは水と大麦麦芽だけで造ります。
- スコッチに添加物を入れてもよいのですか。
- 加えてよいのは水とプレーンカラメル着色料(E150a)だけです。製品仕様書は、E150aは色をそろえるのに使う着色料で、香りや甘味をつけるものではないと説明しています。度数の調整には飲用に適した水を使い、蒸溜、脱塩、逆浸透で精製した水も使えます。
- スコッチは何年熟成させる決まりですか。
- 容量700リットル以下のオーク樽で、スコットランド国内で3年以上熟成させることが法令の条件です。3年に満たないものはスコッチウイスキーと呼べません。製品仕様書は、実際には5年から12年、18年、それ以上熟成させるものが多く、樽の中の原酒は毎年平均2%が蒸発すると説明しています。